村瀬 拓也
金属材料工学コンサルタント
金属材料工学の研究職を経て、チタン素材メーカーの技術部門で10年以上の実務経験を持つ。合金設計・熱処理・材料試験に精通し、JIS規格の策定にも関わった経験がある。
元チタン素材メーカー技術部門。合金設計・熱処理・材料試験の専門家。JIS規格策定にも関与。
村瀬 拓也の記事 (14)
チタンはなぜ高い?製錬・歩留まり・加工で分解
チタンは、地殻中にクラーク数0.46%で存在し、アルミニウム・鉄・マグネシウムに次ぐ豊富さを持ちながら、見積では鉄やステンレスより桁違いに高くなる金属である。既知鉱区の推定埋蔵量は約100億トンに達するのに、実務では「レアメタルだから高い」という説明だけでは社内で通らない。
チタンスクラップ買取相場とkg単価・高く売る条件
チタンスクラップは、純チタンの塊材でも2026年時点で国内買取が200〜300円/kg前後にとどまる金属である。直近では250円/kg前後の提示も見られるが、削り屑や雑品、汚染材はここからさらに下がるため、「チタンなら高い」という感覚だけで持ち込むと差に驚くことになります。
チタンマグの焼き色|温度別の色と失敗しない手順
チタンマグの焼き色は、塗装でも顔料でもなく、加熱で成長した酸化被膜が生む光の干渉色である。被膜表面の反射光と金属基材で反射した光が位相差を持って重なり、淡黄から群青までの色は膜厚の変化として現れます。
チタンカップの黒ずみ・茶渋の落とし方と焼き色の扱い
チタンカップは、黒ずみ・茶渋・白いくすみ・焼き色の4種類で見分けるのが出発点です。とくに「クエン酸に漬けたのに黒ずみが落ちない」という相談が多く、原因は汚れの種類と洗剤の系統が噛み合っていないことにあります。
チタン製錬クロール法|スポンジチタンの製造工程
クロール法とは、四塩化チタンをマグネシウムで還元してスポンジチタンを得る製法であり、1946年に開発されて1948年の米国工業化以来、今も世界の標準として使われています。
耐食チタンGrade 7・12|化学プラント配管の選定基準
耐食チタン合金の選定は、純チタン(Grade 2)の限界を正しく押さえるところから始まります。Grade 2は酸化性環境では安定ですが、希塩酸や希硫酸のような還元性酸の低pH域では不働態皮膜が崩れ、化学プラント配管では全面腐食や高温塩化物中の隙間腐食を招きます。
チタングレード早見表|Grade 2・5・23とJIS対応
チタンの図面・仕様表記は、ASTMのGrade番号、JISの種別、UNS番号、製品記号が入り混じり、2026年のいまでも設計者と調達担当者を悩ませています。海外サプライヤーの見積に『Grade 23』、国内図面に『61種』が並んだとき、同一材料かどうかの確認に手間取る場面は少なくありません。
純チタンと64チタンの見分け方|磁石・比重・刻印
純チタンと64チタンの見分け方は、まず磁石や比重を当てにしないところから始まります。どちらも非磁性で磁石に付かず、比重も4.51と4.43で差はわずかで、100gの部材でも手秤ではほとんど見分けがつきません。
チタンとステンレスの違い|強度・耐食性・コストで比較
チタンとステンレスは、軽さと耐食性、そしてコストのバランスで選ぶ金属材料である。Ti-6Al-4Vの比強度はSUS304を大きく上回り、密度もチタンは約4.43〜4.54g/cm³と軽いが、ヤング率はステンレスの約半分しかないため、強度だけで選ぶとたわみで設計をやり直すことがある。
チタンは錆びるのか|不動態皮膜と変色の正体
チタンは、JIS2種の純チタンとして純度99.4%以上が規格上の目安になっている金属で、表面に数nmの酸化チタン皮膜を瞬時に作ることで錆びにくさを発揮します。空気中や水中、人体内で腐食しにくいのは、この緻密な不動態皮膜が傷ついても酸素があればすぐ再生するからです。
チタン市場の動向|TiO2と金属の需要・価格・技術
2024-2026の最新データでチタン市場を再定義。TiO2と金属チタンを分け、需要構造・地域シェア・価格指標・Kroll/AMなど技術トレンドを因果で接続。設計・調達の判断ポイントを提示します。
β型チタン合金の特性|高強度・高加工性の理由と選定基準
Ti-6Al-4Vとβ系の違い、冷間成形後に所要強度が得られるかを設計と調達の判断軸で整理します。設計者・調達担当者が合金選定と工程設計で必要な数値と実務的な視点を得られるように、代表合金の特性と運用上の注意点を示します。
海外チタン市場の供給構造|米中露の役割と調達リスク
航空宇宙向けのチタン材は、規格適合だけでなく顧客承認に年単位を要することが珍しくなく、供給不安が見えてから代替先へ切り替えても手遅れになりがちです。チタン市場を読むときは、顔料向けのTiO2と構造材向けの金属チタンを分けたうえで、鉱石、スポンジ、溶解、
自動車部品のチタン採用|適用部位と選定基準
自動車はトヨタやJAFの説明でも約2万〜3万点の部品で成り立つ製品であり、チタンの軽量化効果は「どこに入れるか」を外すと評価がぶれます。本稿では、高温部・動的部・締結/ばね部の三分類を起点に、Ti-6Al-4Vを中心とした合金選定を整理します。